渋谷と原宿の間に200体の石仏が並んでいる。

 長泉寺の醍醐味は本堂の裏にある。裏側は山手線に接するまで全部墓場。線路に面して、こんなところに墓地があるなんて、昔この区間を通勤していたときには気が付かなかった。結構古い墓石もあるし、新しいのもある。墓場は卒塔婆の林立状態なので、今も使われているのだろう。後ろを振り返ると、墓石と卒塔婆の間から明治通り沿いのビルが見える。渋谷区には墓地が何箇所かあるが、周りを高いビルに囲まれているのは、ここぐらいだ。

 お墓を避けつつ、奥までいくと、ちょっと驚く。山手線の土手に石仏がだーーーっと並んでいる。総数
200体。象の寺と思わせておいて本当は、像の寺というオチか、と思うぐらい沢山ある。明治通りからは距離があってよく見えないし、線路の土手に並んでいるので電車からはちょうど見えない。墓場の奥まで来ないとまず気づかない。

 石仏は、よくある石のお地蔵様とかじゃなくて、千手観音や馬頭観音、弥勒菩薩のようなポージングのもの、三体が一つの石に彫られたものとか珍しいものが多い。苔むしていたり、風雨で顔が削られてディテールがわからなくなっていたり、かなり昔に作られたようだ(もしかすると千年ぐらい前?)。学術的研究対象にもなったことがあるそうだ。渋谷と原宿の間は年50回は通っていたが、過去にタイムスリップしてしまうような場所があるなんてことは、ずっと知らなかった。知ってからも、墓場に踏み込むのはなぜか3年ほど躊躇していた。夜に来たら相当怖いと思うが、門は閉まっているのでよじ登らないように。

 墓場の最深部には、古い六地蔵が並んでいる(こちらが本体かっ!)。墓場の一番奥、しかも裏鬼門の方角に六地蔵を安置とか、かなり意味ありげ。奥の六地蔵から見て墓地の対角線上、つまり鬼門の方角には、門脇の六地蔵がある。もしかすると計12体の地蔵菩薩で墓地に何か封じこめているのかもしれないっっ、、、とマンガやアニメなら話が急展開する場面。封じ込められ居るのは古の姫君の怨念が宿る「魔鏡」がちょうとよいと思う。

 長泉寺には、さらに隠された伝説(魔鏡にちょっと絡む)があったりする。話が長くなるので、また改めて。