渋谷川移設工事

渋谷は川の街だ。

谷があるということは、その谷を刻んだ水の流れもある。渋谷の川と言えば渋谷川だけど、川の流れを直接見られるのは渋谷駅より南側だけで、駅より北は全て暗渠になっていて地下を流れている。
キャットストリートの下を渋谷川が流れているのは、意外と知られていない。

 
渋谷には他にも地下を流れる川が何本かあって、地上をよく見るとそこが川の上なのがわかる。どの川も道の下を流れている、というよりも、川の上にフタをして、そこを道にしたと言う方が正しい。首都高を含め、川の上に道を作るのは、更地の限られる東京の特徴かもしれない(東京オリンピックの副産物)。外国人から見ると、川の上で立体的に交差する高速道路は、東京を感じさせる風景らしい
 
わかりやすいところでは、宇田川町の下を流れる宇田川。代々木八幡から宇田川町にかけては、遊歩道になっていて、多少くねくねしているので、川だった感じがする。宇田川の支流の河骨川(もちろん、今は道の下)が童謡「春の小川」だったことは有名。
 
その他にも、今は名前もないが、松濤公園から東急本店前を通って宇田川に合流している見えない川もある(十数年前は、栄通りに沿ってドブ川が流れていた)渋谷駅の南西、桜ヶ丘から代官山の間には、鉢山町から鶯谷にかけて道の下を流れて渋谷川につながっている川がある。道の下を流れる川は、はっきり言うと今は下水道になっている。そういう道は普段は気づかないが、雨の日の翌日にそこを通ると、轟轟と水が流れている音がして、川だった名残を感じさせる。狭い道の下に川が流れているときは、道にやたら下水のマンホールがあるから、すぐわかる。

 渋谷川水系の地図は、こちら→河川&暗渠ルートマップ(渋谷川・古川水系)

 
どの川も渋谷駅付近で渋谷川に合流している。渋谷駅が谷底というのは、水の流れでもわかる。ゲリラ豪雨のときは、山の手線の下をくぐっている道路が水没したし、ハチ公前も水があふれ、地下鉄の階段に流れ込んだ。皮を一枚はがすと、渋谷駅のあたりは、文字通り、川の水が渋滞する場所なんだろう。
 

渋谷駅の建てかえがらみで、渋谷川の付けかえ工事が、ヒカリエの前でいま行われている。渋谷川の見えている部分も、東急東横線のホームと高架がなくなるのに伴って、フタをする構想もあるとか。渋谷を形づくる水脈が全部フタをされて、封印されてしまう。これって、風水的にはどうなんだろう?と思ったりもする。