渋谷暗黒巡礼 Dark Pilgrimage in Shibuya

見ようとしても誰にも見えない渋谷、見えてるのに誰も見ようともしない渋谷

November 2015

幻の谷と小さな龍 the vanished valley and the tiny dragon



渋谷には、名前を失った谷がある。

 いまは渋谷の地名にはないが、かつて「北谷」と呼ばれた場所があった。地名の名残は、北谷公園と北谷稲荷神社ぐらい。そのあたりが北谷だったと思うが、ここぞ「谷」と呼べるような場所がどこなのか、指し示せと言われると困ってしまう。
 「谷」を呼ばれるからには、両側に急な斜面があるはずなんだけど、あの辺りは、JR山手線に向かう東斜面ばかりで、「谷」という感じがしない。

 ある朝、NHKの辺りから、桑沢デザイン研究所なんかを右手に見ながら、北谷稲荷のある坂を下っていて、ふと気づいた。この坂は、北側が岸体育館がある高台だし、右手に行くと、Lad MusicianやJournal Standerdがある坂に向かって、ぐぃっと急な坂になっている。ちゃんと谷の形になっているじゃない。北谷の本体、というか臍にあたるのは、どうも北谷稲荷神社のあたりようだ。
 現在の北谷稲荷は、周辺の土地を合わせて再開発されて、大きなビルの3階テラスに建てなおされた。建築と一体的に設計された「デザイナー社」ですね。

 古い神社がある場所は、それなりの理由があるのが常。どっちかっつーと、地形的に周辺と違う場所、泉が湧くとか、大きな岩があるとか、高台の上とか、いかにもパワースポットっぽいところが多い。神社が谷の底にあるということは、水が湧いていた場所の可能性が強い。
 北谷稲荷の谷を挟んで向側には、ちょっとした森に囲まれた謎の白い建物がある。人や車の出入りがないので、何をやっているのかわかり難い。建物の壁には窓がなくて、のっぺりとしている。実は東京都水道局の増圧ポンプ所らしい。
 増圧ポンプ所からは、水の音はいっさい聞こえてこない。が、北谷稲荷の社殿の真下、ビルの地下空間からは、ときどき轟轟と水の流れる、というか吹き出すような大きな音が聞えてくる。加圧施設から余剰の水を放水しているのだろうか。北谷稲荷のある場所は、やはり北谷の湧水地だったのかも。

 湧水や井戸とお稲荷様は、あまり関係ない。水辺にあるお稲荷様というもの見たことがない。もともとあそこには、何か別の神様が祀られていたんじゃないか。と思って、境内をうろうろしていたら、社殿の裏手に、▽の穴のあいた石碑、といっても高さ1mもないが、おいてあった。その前には、高さ35cmぐらいの、ちいさいというより、ちっぽけな社(?)がある。手前には、これまた極小の賽銭箱が。。。右手にある石碑には、ちゃんと「龍神」と掘り込んである。
 谷と水の街、渋谷に水につきものの竜神様の神社がないのが、前々から不思議だったのだが、こんなところで見つかるとは。ちっぽけだけど。浅草寺のご本尊も一寸八分だけど、あれだけ人を集めるのだから、大きさと霊験とは関係ないのだろう。岩の▽穴の周りには、三角形に波しぶき模様が彫られていて、勢いのある水の流れを感じさせる。ちょうどこの真下から水流の轟音が聞える。▽穴から除くと、ちょうど水道局の建物が見える。明らかに意図的に水のパワースポットにあたるところに岩が配置されている。

 ▲の中に、小さな▽がある文様は、龍や蛇の「鱗」を表している。きっと古くは、ここは水の湧き出す龍神信仰の場だったのだろう。いまでは、小さな龍は、狐に踏みつけられているけど、渋谷の街を水害から守っているのは、このちっぽけな水龍なのかもしれない。意外とレバレッジが効いて、ご利益はおっきいかもしれないので、水商売の方はもちろん、渋谷川付替え工事関係者の皆様は、ぜひお参りいただきたい。








 

悪夢の翌朝(前篇)A Nightmare on Shibuya Center Street



センター街が一番きれいな日は、今年から11月1日になるかもしれない。


今年のハロウィンは、土曜日だったこともあり、コスプレイヤーが遠方から渋谷に出てくる時間も、特殊メイクする時間も、コスプレに着替える時間も、たっぷりあった。その上、東急グループを始め、物販・飲食各社は、イベントを集中展開。おかげで、スクランブル交差点は、昨年以上の大盛り上がりだった。

去年との一番大きな違いは、翌朝の風景。
去年の11月1日、朝のセンター街は、ほんとうに凄い風景だった。路面一面にびっしりとゴミが積もっていた。道端には、脱ぎ捨てられた衣装が多数散乱。歩道にある大きなゴミは、8時頃にはゴミ袋に入れられていたが、小雨で路面に張り付いたクズは、そのまま放置され、翌日、風に舞い散っていた。数日は、悪夢の名残を感じさせた。

今年の11月1日朝は、ほんとうに凄い速さで、路面一面のゴミが無くなった。日出の頃からセンター街には、十数のボランティアチームが集結。その上、コスプレのまま、ゴミ拾いに参加する個人ボランティアも多数出現。おかげで、8時までに、路上のゴミはすっかりなくなっていた。はっきり言って、普段の朝よりも、ずっと綺麗になっていた。

今年は、たまたま日曜日だったから、ボランティアがたくさん集まったのかもしれない。毎年恒例にするためにも、ボランティアの皆さんに、朝のコーヒーサービスぐらいあってもいいと思う。
日本コカ・コーラのCSR担当の方へ、来年の11月1日の朝は、ジョージアのいつもより温かいやつを配っていただけませんか。