渋谷暗黒巡礼 Dark Pilgrimage in Shibuya

見ようとしても誰にも見えない渋谷、見えてるのに誰も見ようともしない渋谷

December 2015

渋谷温泉 Shibuya Spaland



渋谷には江戸時代から大浴場があった。

およそ35年前まで、江戸時代から続く浴場が神泉にあった。場所は、神泉駅の南隣にあるローソンの辺り。そもそも「神泉」という地名自体、水が湧いていたがためとか。
神泉周辺は、湧水地域のようで、今でも二か所から水が湧いている。一つは、松濤公園、もう一つは東大駒場キャンパスの通称一二郎池。神泉にも古くから「姫ヶ井」と呼ばれた井戸(泉)があり、江戸中期には地元村営の共同浴場になっていたそうだ。大山道の一部である滝沢道沿いにあるため、大山阿夫利神社や淡島森巌寺詣の帰りにひとっぷろ浴びるのが江戸っ子の定番だったようだ。明治時代には「弘法湯」と呼ばれていた。いまでも、ローソンの脇に道しるべがある。

明治時代に共同浴場の営業権が売却され、民営化された。浴場の隣には、弘法湯経営の料亭「神泉館」が建てられ、渋谷最大の浴場として賑わっていたらしい。お湯があって、料亭があって、人が集まるとなると、やっぱり色っぽいサービスニーズが生じるわけで、弘法湯の向かいに芸者置屋「宝屋」が出来た(1887年)。それが、円山町に花街が生まれる発端になったらしい。言ってみれば、神泉に浴場がなければ、ラブホ街も道頓堀劇場も平成女学院もなかったかもしれない。恐るべし「お湯」のパワー。

そんな「お湯」パワーも、高度経済成長の終焉とともに衰え、1979年に弘法湯は閉鎖され、マンションに建て替えられる。オーナー一族の相続税問題もあったのかもしれない。オーナー一族は、いまでもマンションの一角に喫茶店とギャラリーを営んでいる(潔い直球勝負の店名ラ・フォンテーヌ!)。といっても、マンション裏の綺麗なオフィスビルの最上階に、有限会社弘法湯(たぶん資産管理会社)が入居しているところを見ると、不動産収入だけで食っていけるんだろうなー。三代目はフリーカメラマンが本業(道楽?)だし。

弘法湯がなくなったとはいえ、弘法湯をきっかけに彼の地に集積した沢山の「二人用のお風呂」のニーズは、顕在。世界最大のスパ、ナガシマスパーランドには規模では及ばないけど、お風呂のバリエーションを売りにして、神泉・円山町をお風呂のテーマパークできないかなと思ったり。
浴槽市場でトップのLIXILを蹴落としたいTOTOさん、円山町をお風呂のギャラリーに使ってもらえないでしょうか。やっぱりブランドイメージ的に無理かな。。。なら、別の戦略を考えよう。

 


 

スパガス爆発 Backdraft


10年ほど前、渋谷でガス爆発があった。

2006年6月19日、死者3名、意識不明1名の惨事だった。爆発したのは、栄通りに面したスパ(温浴施設)「松濤温泉シエスパ」。経営はユニマットホールディングの子会社。爆発したのはスパの裏にある設備棟。ここで地下から温泉をくみ上げていた。温泉に含まれる天然ガスを除去していたのだが、除去装置からガスが漏れて地下室に充満したことが、爆発の原因のようだ。

シエスパは、全館女性限定の施設で、トリートメントルームやヨガスクールまであって、人気があった。センター街やランブリングストリートにも近くて、オールナイトロングの女子だけグループにはとっても便利(少しお姉さんの女子の皆さんは、円山町の男女兼用のお風呂を女同士でもご利用する見たいですが、、、)。
屋上に露天風呂があるのが、ユニマットらしい。実は、屋上露天風呂を作りたくてスパ事業を始めたんじゃないかと疑っている。露天風呂は円山町にもあるけど、9階建てのビルの屋上風呂には、敵わない。


スパだった建物
は、解体されず、白い鉄板で囲われたまま今も立っている。爆発した設備棟は、当時のまま、鉄骨だけの姿をさらしている。
無念の死者を3名も出た場所だけど、ここが心霊スポットだという話は聞いたことがない。ここは裏通りとはいえ、松濤の住宅が並ぶレンガ敷きの遊歩道で、近隣にお住まいの方の犬の散歩コースになっている。早朝は、結構爽快だったりする。1人しか死者は出ていない東電OL殺人事件現場の方が、今なお(というか、年々益々建物が古びてきて)不気味で陰鬱な雰囲気を漂わせている。

心霊現象もなさそうだし、そもそも、とても良い立地なんだから、建替えて何か事業をやってほしい。そろそろ建て替えないと、オリンピック需要を逃してしまうし。
敷地が狭いので、ホテルは難しそうだが、かといって飲食店のテナントビルにするのも、もったいない。いろいろな面から考えてもと、ユニマットが「スパ」を選んだのは、やっぱり正解だったと思う。
神泉には、江戸時代から温泉があったんだから、現在の渋谷にも温泉の一つはほしい。大手町にできる温泉宿「星のや東京」も話題になっているし、インバウンド需要を考えても、やっぱり渋谷温泉があるといいと思う。ユニマットは、ここでは二度とスパはやらないと公に言っているし、ここはやはり、ぜひ星野リゾートに土地を買い取ってもらって、渋谷温泉を開業してほしいところ。損害賠償訴訟も長引いているから、ユニマットもお安くしてくれるのでは。

渋谷の観光客の特徴を考えると、渋谷温泉はタトゥーフリーにする方がいい。渋谷では、肌が色柄物の観光客をほんとよくみかける。ちょっとタトゥーを入れました、という感じではなくて、肩から手首まで、がっつり入っている人が目立つ。たぶん、胸や背中もがっつりでしょう。
彼らも、せっかく日本に来たんだから、温泉にはつかりたいだろうけど、民間のスパや温泉宿は、入浴禁止のところが多い。道玄坂上のサウナも、入口にデカデカと「お断り」と書いてある。でも、欧米の色柄者が、たくさんお湯につかっていると、日本のその道の方も周囲を威嚇することもできないから、むしろ安心安全だと思うのだけど。(もちろん、肌絵は「気持ち悪い」と言う方も居られますが、、、)

LGBTを始め、ダイバーシティ・シティを標榜している渋谷区としては、タトゥーフリーの大浴場があるといいのではないでしょうか、区長殿。

 
追記:2016/9/7
荻窪にタトゥーフリーの浴場付きカプセルホテルがオープンしたらしい。外国人観光客取り込みを狙ったそうだ。荻窪は今どうか知らないが、JR中央線沿線(高円寺とか)は有名な彫師さんの店もあるから、模様の入った外国人観光客も多いエリアなんじゃないかな。

 


 

 

 

    

悪夢の翌朝(後編)The Nightmare Before Christmas



渋谷のクリスマス・イブは、なぜつまらないのか?

ハロウィンの翌朝、街じゅうの路面がすっきりきれいになったと思ったら、その日のうちにそこらじゅうにクリスマスツリーが突如出現。一瞬で、あの悪夢の夜はなんだったの、という感じ。ショーウィンドウも、オレンジと黒から、赤と緑に変色。立ち上がりは、クリスマスの方がハロウィンよりも素早い。

でも、プレゼントやパーティーグッズの買い出しには、渋谷に人が集まるが、イヴの夜は、ハロウィンほどの賑わいでもない。夜は、みんなホームパーティーなんだろうか。

いまは@ホーム志向っていうのもあるだろうが、それだけじゃない気もする。クリスマス・イヴの渋谷は、いまいち見るべきところがない。ハロウィンのスクランブル交差点は見に来る価値があるけれど、クリスマス・イヴに赤い服や真っ赤な鼻の集団が横断するといった話は聞いたことがない。表参道のLED電飾や恵比寿ガーデンプレイスのクリスタルツリーの方に、人が集まるんだろう。

 

渋谷の街の欠点は、来る人の数の割に、広場がないし、歩道も狭いこと。
ハチ公像の周りも電飾してるけど、規模がね、、、マルイ・モディの入り口にも負けてるぞ。
でも、2020年のクリスマス・イヴには、駅ビルもリニューアルしているから、広くなった駅前広場を電飾するとか、駅ビルをプロジェクトマッピングするか、きっと何か大掛かりな仕掛けもできるだろう。

かといって、5年後まで手をこまねいている必要もないと思う。せっかく駅前に背の高いクレーンが何本も立っているんだから、クレーンで電飾を何本も釣り上げて、巨大なクリスマスツリーみたいにしたら、とっても綺麗だと思う。
高さの面では、表参道や恵比寿に勝てるし、上手くすると、表参道や恵比寿からも電飾が見えるかもしれない。駅ビル完成に向けた盛り上げイベントとしてJRとメトロと東急と京急、それにゼネコン各社の広報担当者の皆さん、是非ご検討お願いします。