渋谷には口紅をつけたお地蔵様がいる。

それもピンク色のリップ。綺麗で大きい花束がいつも供えられていて美しい。信心している人も結構いるようで、朝、熱心にお祈りしている人をよく見かける。

色っぽいお地蔵様だけど、300年前(一説に1626年とも)に建てられた歴史ある石仏らしい。二度の火災で焼け崩れたが、バラバラになったのを固めたものが、今のお地蔵様の中に封じられているそうだ。

元々は大山道沿いにあったのを、当時花街だった円山町に移設してから道玄坂地蔵と呼ばれるようになった。きっと色っぽくなったのは、そのせいだろう。現在地は、円山町では唯一、今でも花街だったころの面影を残す一角で、お地蔵様は料亭の敷地内に立っているし、向い側も料亭だ。

花街には、お地蔵様が欠かせない(water children, R.I.P)ことも、ここにある理由かも。きっと芸者さん達も拝んでいたに違いない、と考えるとピンクのリップも納得がいく。例の東電OLも夜、お地蔵様の前で立ちんぼをしていたのが目撃されているのは、なんとも因縁を感じさせなくもないと思わなくもない。

こんな風に考えると、ちょっと暗い印象になってしまうから、これからは芸事にご利益のあるお地蔵様ということにするのを提案します!芸者さん達が拝んでいたんだから、三味線やら踊りやら歌やら、上手くなるご利益も期待したい。渋谷には音楽やダンスのスクールが沢山あるし、近くには
ライブハウスクラブがいくつもあるし、渋谷区的にはイメージアップになるのでは。

よく考えると、地蔵菩薩は一応男子なので、このお地蔵様は、実はお姉ぇだったということになる。きっと同性の恋愛にご利益があるにちがいない。お姉ぇの人は、ゲイ達者で現代のゲイ者と言えるしね。渋谷区が同性愛カップルに寛容になったのは、道玄坂地蔵のご利益に違いない。
ということで、コスメ業界をスポンサーに道玄坂地蔵を国際的に売り出してはいかがでしょう、渋谷区長殿。